初恋の実らせ方
初恋のキスの行方
英知は日頃からよく彩のことをからかっては、慌てる姿を見て笑い転げる。


今日はいつもの冗談とはだいぶ違っていたけど、それはきっと英知が熱に浮かされているからで。
どうせ彩がさっきの言葉を真に受けてうろたえれば、いつものように笑うんだ。


「…いいよ」


そう答えたのは、英知が面食らうだろうと思ったから。
自分ばかりが笑われるのは嫌で、たまには英知をからかってやりたかった。


「―――なんて。
残念でした…」


引っ掛かからないもんね、と彩がネタばらししようと笑った瞬間。
英知は彩の唇に自分の唇を押し当てた。


彩は動けない。


それは肩を掴む英知の力が強かっただけじゃなくて、初めてのことに呆然としていたせいだった。


抵抗できない彩の唇を、英知は優しく、けれど離さない。


触れた唇から英知の熱が伝わってくる。


彩は、どのくらいの間そのままでいたのか見当もつかなかった。
英知が唇を離した途端、彩は我に返って英知を押し退けた。
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