ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
「答えはできれば今すぐと言いたいところだが、それはやめておこう。しかし早急に頼むよ」


一切言葉を発することなく、わたしは立ち上がる。

そして最後にひとこと。

「失礼します」

深々と頭をさげたのはわたしの強い意思表示のつもり。伝わらないかもしれないけれど、せめてものわたしの抵抗の意味だった。


「君、バームクーヘンを持っていかないか? 今、秘書に包ませるから」

「いいえ、結構です」


わたしは振り返ることなく社長室を出て行った。
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