ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
相変わらず埃っぽい。

保管庫は電気を点けても大きな棚が並んでいるせいか、あたりが薄暗く感じてなんとなく不気味な感じ。

夜は絶対に一人では入れないよ。

だからかな?

息苦しさも感じて、少し気分が悪い。


急に。

お腹の底から湧きあがってくる不快感にクラクラして。鼻につく古いインクのような臭いに思わず口元を押さえた。


幸い胃の中は空っぽ。

だけど吐き出すものがない代わりに胃液がカーッと喉を痛めつける。



なにが起きているの?

自分の身体の異変に気づきながら、どうすることもできなくて。



頭のてっぺんから何かが吸い込まれていくようにふーっと意識が遠のいていく。



ヒロくん……

薄らと浮かんだ幻の姿に手を伸ばし……


だけど掴み損ねて、そこで意識が完全に途切れた。
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