ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
◆ キャラメル・キス
「うわぁ! 月が追いかけてくる」

「カホ……そんなこと小学生でも言わないと思うけど」

「だってそう見えるんだもん」


帰りの車の中で心に思ったことをそのまま言ってみたら馬鹿にされてしまった。

まあ、当たり前だけど。

でも今日の月は魅入ってしまうくらいにきれいだった。

月には神秘的な力がある。

引力が作用して珊瑚やウミガメが産卵をするというのは有名な話し。それ以外にもヒトの身体にも影響を与えているとかいないとか。

わたしたちが初めて出会ったときはどんな月だったのかな?


あの日、コンビニでわたしが初めてヒロくんにタバコを売った日。

ヒロくんの顔はよく覚えていなかったんだけど、あのエピソードは強く印象に残っていた。

タバコの銘柄を間違えたらヒロくんに注意されちゃって。


『それくらい常識。しかも両方人気の銘柄なんだから、それくらい覚えておけよ』

『わかりました。教えて頂いてありがとうございました』


そしてペコリと頭を下げたわたしに向かってヒロくんは最後に言ったんだ。


『これでわからないことが1個減っただろ。よかったな』


これ、なんとなくわたしが入社当時に受けたヒロくんのお説教を彷彿とさせる。
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