次の日のことだった。
お昼休みになってすぐお化粧室に行って事務所に戻る途中。
「だめですかぁ?」
廊下の先から甘えた声が聞こえてきて、思わず立ち止まってしまった。
あの後ろ姿は……
受付嬢の楓(かえで)ちゃんだ!
同い年の楓ちゃんとはエレベーターで一緒になると世間話しする仲で。
少しぶりっ子だけど、性格はいいのでわりと親交がある子。
なになに?
その楓ちゅんがいったいヒロくんになんの用なのよ!?
「わかった。とりあえず、あとで連絡するよ」
「本当ですかぁ! じゃあ待ってまぁす!」
そして楓ちゃんがヒロくんに小さいなにかを渡していた。
あれはもしかして?
連絡先を書いたメモ?
ええ?
しかもヒロくん、それ、受け取っちゃう?