ナイショの恋を保存中!~クールな彼の恋人宣言~
ルンルンと。わたしの存在に気づかないまま、スキップしながら楓ちゃんはまっすぐエレベーターの方に向かっていった。

うれしそうだなあ。

声と後ろ姿だけだったけど、それはよくわかった。

そして、わたしに気づいてこちらを見ているヒロくんの瞳に耐えられなくなって。


「お、お疲れ様です」


そう言って何事もなく通り過ぎようとした。

でも……


「楽しかった? 夕べ」


冷淡な微笑みで言う。


「ヒロくん……?」

「会社でそういう呼び方やめろよな」

「あ、ごめん」


無愛想な態度に涙が出そうになった。

どうしてそんなに冷たいの?

わたしが世良課長と一緒にご飯に行ったせいなの?

でもわたしたち、もう、そういう関係じゃないのに。

ヒロくんには彼女がいるのに、変だよ。
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