【B】明日は来るから 【優しい歌 外伝】

8.朝帰りの後は…… - 恭也 -





合コンの夜。

酔っぱらった彼女を自宅に送り届けて
彼女に求められるがままに
夢中で狼になった……。



人生初、初めての朝帰り。



彼女がまだ眠るベッドを抜け出す。



裸の二人が、
昨夜の夜を物語る……。




慌てて着替えほ済ませると、
二日酔いになっているであろう
彼女のために
近所にあったコンビニでポカリを調達。



今も眠り続ける彼女の枕元にある
キャビネットに、ポカリと置手紙を添えて
帰路に就いた俺は電車を乗り継いで
ようやく自宅の最寄り駅へと到着した。





ポツポツと出勤に急ぐ会社員たちを
横目に、逆の方向へと歩いていく。



多久馬医院。




親父の病院の看板が見えると、
深呼吸を一つ。



「ただいま」



玄関のドアノブを
持つ手にも力が入る。




「……恭也……。

 心配したのよ」




っと、いかにも眠れませんでしたって
言う感じで姿を見せたおふくろ。



「ごめん。

 電話できなかったんだ」

「お父さん……怒ってるから」



だろうな。



曲がったことが大嫌いな親父だから
連絡もなしに、朝帰り。


しかも……
思い返すだけで……
顔がくずれてしまいそうな夜。



おふくろの後をついて、
親父がいるダイニングへと姿を見せる。



入った途端に、
朝食中の親父が箸をおいて、
俺の頬に重い一発。


反動で横に勢いよく振られた顔。


ぶたれた場所に、
ゆっくりと手のひらを添える。





「恭也、手を洗って
 そこに座りなさい」




一発殴り終えると
後はいつも通りの親父。



言われるがままに、
外出先から戻った時の日課となっている
手泡いを済ませてダイニングに戻ると
すでにテーブルの上には
おふくろが作った朝食が並んでいた。

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