背後の彼
「ごめんね。
急に付き合わせちゃって」

注文を終えると

同僚はそう言って
私の方に向き直った。

「ううん、大丈夫。

綺麗なお店だね。
初めて来た」

「そう?私よく来るよ。
余所の課の人も結構いるし」

他の席に目を遣ると
なるほど確かに

知っている顔をちらほら
見付ける事が出来る。

「なんか今日
占いもコーヒーもタダでもらってばっかりで悪いなぁ」

同僚は
確かに、と言って笑い

それから少し声を潜めて
私に尋ねた。

「さっき言われてた事って本当なの?」
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