闇に降る雪のように
刑事・名波智也
やけに降るなぁ・・・。
普段から陽のあたらない部屋が、雨のせいでさらに暗い。
陽のあたらない部屋・・・取調べ室で、俺は、憂鬱な気分になっていた。
俺を憂鬱な気分にさせているのは、天気とこの陰気な部屋のせいだけではない。
さっきの理子との電話のやりとりだ。
「ふぅ」
俺はちょっとため息をついた。
横に座っている先輩の谷さんは落ち着いた様子で煙草をふかしていた。
いつものマイルドセブン。
谷さんがマイルドセブンを吸うとき、俺は親父を思い出す。
公務員の親父。真面目な親父。
酒はやらなかったけど煙草はストレス解消のためだと言ってやめなかった。