今夜、俺のトナリで眠りなよ
「食事会。すっぽかして、愛人のマンションにでもしけ込んでいたんだろ? 仕事って言えば、何でも許されると思うなよ」

「僕には意味がわからないな」

「わからないなら、教えてやろうか? 後悔するころには、あんたは無一文になっているように仕組むことだって俺には出来るんだぜ?」

 兄貴がクスクスと馬鹿にしたように笑う。

「一樹に何ができる? まだ君は未成年のくせに。強がって、僕を脅迫しても無駄だよ」

「親父の遺言。それだけ言えば、わかるだろ。俺は、権力を持とうと思えば、持てる立場にいるってこと忘れんなよ」

 俺は兄貴に背を向けると、二階へとあがっていった。


        一樹side  終わり
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