* あたしがいなければ...



それから三月、高校を卒業したお兄ちゃんが独りで東京へ行く日が来た。

置いていくわけじゃない――信じていたいからあたしは笑う。

お兄ちゃんに心配はかけられない。

あたしが笑うとお兄ちゃんは安心するから。


「お兄ちゃん、がんばってね」


見送りは玄関先でいいと云ったお兄ちゃんを、云われたとおりドアのまえで送りだした。

お兄ちゃんは大きなボストンバッグを肩に引っかけると、あたしをじっと見下ろした。


「寧音、電話するよ、毎日」

「うん」


何か云いたそうにしてお兄ちゃんはあたしのまえで立ち尽くしている。

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