赤い狼 四
:待ち受けていた休日
「よっ!」
「よっ、て…。それ、おじさんっぽいです。」
「それは禁句だ、稚春。」
眉を下げて車の中から私を見上げるその顔は、とても久しぶりな気がする。
「朋さん。いつもお迎え、ご苦労様です。」
「いや~。いいのさ。稚春を迎えに来れるなんて嬉しい事、この上ねぇからな。」
「またまた大袈裟な…。」
「今日も素晴らしい謙遜だな、稚春は。」
ハハッ、と白い歯を覗かせて笑う朋さんを見ながら助手席に座る。
今日の朋さんはやけに元気だな。
空元気、な訳でもないな。と首を捻る。
何でそんなに元気なんだろ。
まぁ、元気ないよりかはいいけど。
そう思った私は朋さんの態度を特に気になんかしてなかった。
この後に、朋さんの元気ありすぎな原因はこれだったのか、と拳を握り締める事になるとは知らずに。