記憶の桜 -花空残夢-
第5章 哀愁の行方
【愁】


「姉上、朝食を持って来たよ」



俺は部屋の出窓に座る姉上に声をかけた。




でも、反応は無い。




「冬なんだから、何か羽織りなよ」




そう言って、俺は着ていた羽織を姉上の肩にかけた。




「ご飯、食べてね」




「……………」




姉上は土方さんと離れてから、ろくに食事を取ろうとしない。



食べやすいようにお粥を出しても、半分も食べなかった。





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