璃音が東京行きを決意したと聞いたのは、それから程なくして。
隆史さんからの電話で、それを知った。



「任せたよ」

たったその一言が、俺の気持ちを引き締める。
璃音は、隆史さんや真由子さんにとっても大切な家族のようなものだから。



隆史さんの好意で、製菓教室のない間、働きながら勉強させてもらえる場所まで確保できた。もちろん、給料つきで。


きっと彼女のことだから、部屋の家賃だとか、生活費とかすごく気にするだろうから。
それに、それが社会で生きていくという事なのかもしれない。



Strawberry kissでも、きちんと給料は支払われていたようだ。

璃音はひどく遠慮したらしいけれど、それが彼女の価値を表すものの一つでもあるからと、隆史さんは言っていた。
正当な対価を得るということが、今の彼女には必要だと。


勿論、お金がすべてではない。

けれど、そうやって目に見える物での評価というものは、彼女の励みになったはずだ。




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