何度か、そうしたデート――といっても恋人なわけじゃないのだが――を楽しんでいたある日、すっかりバイクの後ろに乗ることに、彼女が慣れてきたころだった。



もう日差しが強くなって、もう少しで夏がやってくる。

一緒に出掛けた公園で、じりじりと照りつける太陽に目を細めていると、突然俺の視界に彼女が飛び込んできた。



「光希さん、もう、海泳げるかな」

「そうだな。泳げないことはないだろうな。まだ寒いかもしれないけど」

「海、行きたいな。最初のデートは」



何? 彼女は今、なんて言ったんだ?
俺は自分の耳を疑った。



「……今、なんて?」

「えへへ」



可愛らしい笑顔で逃げようとする彼女を、俺は思わず捕まえた。
心臓が、これまでにないほどドクドクして、飛び出してしまうんじゃないかと思うほどで。



「璃音ちゃん?」

「服部璃音、おすすめです」



照れた顔をして、それでも俺の目を見てそう言う彼女を、思わず腕の中に抱き寄せる。



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