会社の帰り、庄野を呼び出した。

はっきりさせておかないといけない。もう、璃音以外の人を、愛することはこの先ないから――。



「柏木君?」


会社の近くのカフェで、向かいに座った彼女が、少し不安げに首を傾げる。


正直言って、璃音にあんな辛い思いをさせたことに憤りも感じた。
だけど、それは俺のせいでもあって。そして、璃音自身が、庄野への制裁なんて少しも望んではいないことも、分かりすぎるほど分かっていた。

だけどもう、彼女に、そんな思いをさせたくはないから――。



目の前に、コーヒーが運ばれてきたとき、俺は口を開いた。


「庄野、ごめん。俺、お前の気持ちに応えられない」


その瞬間、彼女の瞳が大きく開かれて、彼女が一瞬言葉を失う。



この作品のキーワード
切ない  純愛  大人恋愛  障害  不器用  家族  事故  運命    婚約