それを壊したのは、俺の決断だった。


大学の卒業後、俺は上京したいと思っていた。大学の先輩が、熱心に俺を誘ってくれた会社があって。
ずっとゼミでお世話になったその先輩は、ウマが合うと俺のことを気に入ってくれて、俺のために何度も会社と掛け合って、俺の席を確保してくれた。絶対にお前に適任な仕事だと。

そして、この不況の中で、俺を必要としてくれる場所があるということに、激しく揺さぶられていた。



だけど……。

やっぱり気にかかるのは、璃音。
彼女の元彼は、たしか上京して……。



俺が上京を仄めかしたとき、予想通り璃音は激しい動揺をみせた。すごく驚いた顔をした後、激しく首を振って黙り込んでしまった。

ただ、止めて欲しいとは一言も言わないのが、きっと彼女らしいんだと思う。



けれど、それから会うたびに、口数が減っていく璃音。




この作品のキーワード
切ない  純愛  大人恋愛  障害  不器用  家族  事故  運命    婚約