約束の大空 1 【第1幕、2幕完結】 ※ 約束の大空・2に続く

31.運命の朝 - 花桜 -



その日、朝から屋敷内は
張りつめた空気が漂っていた。



それでも私の生活は変わらない。





張りつめた空気を胸いっぱいに吸い込んで、
大きく伸びをすると、いつもの毎日を一つずつ
対峙するように熟していく。




「おはよう、舞」



炊事場に顔を出すと、井上さんと一緒に
すでに舞が朝食の用意をしてくれてた。



「おはよう、花桜。
 瑠花は?」

「瑠花?
 まだ見てないけど……」

「寝坊かな?」

「舞、朝食任せていい?」

「うん。
 花桜は?」

「私はとりあえず屋敷内の掃除頑張る。
 雑巾がけ早く片付けちゃいたいから」



そう言うと、炊事場を後にして
雑巾がけの支度へと井戸に向かう。


井戸から水をくみ上げた時、
沖田さんと一緒に居る瑠花を見つけた。



二人は庭園を抜け出てお寺の方へと
仲良く向かっていく。 





最近、瑠花が沖田さんと一緒の時間を過ごしているのを
見かけることが多くなった。


この場所に来て芹沢さんとお梅さんしか、
守ってくれる存在がなかった瑠花。

その瑠花が……心を次に開いた相手。



だけど一緒に居る時間が長ければ長いほど、
瑠花が辛くなるような気がしてならない。


私だけ戻った、瑠花と舞の居ない現実世界。


その世界の図書館で読み漁った
新選組に纏わる書籍に記されていたのは、
沖田さんが、労咳でなくなるという事。



病死って言ってしまえば、
それまでなんだけど……だけど、
瑠花のことを想うと割り切れない。



私より歴史に詳しい瑠花。



何を思って今、
二人の時間を過ごしてるの?

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