君のための嘘

逃げる理由

「コンタクトレンズの具合はどうですか?」


「大丈夫です とても視界がクリーンで、違和感もないので快適です」


「そう、それは良かった」


ラルフは気遣う笑みを浮かべて言った。


「本当にお世話になりっぱなしで……ほんと、申し訳ないです」


警察署でバッグはほぼ見つかる確率がないと言われたのを思い出し、憂鬱な気分が戻って来る。


「そんなに気にしなくても……あそこであったのも何かの縁だと思っています」


「……でも、私がここにいたら彼女さんが嫌がるんじゃ……」


「大丈夫ですよ 話しておきますから気になさらないでください」


やっぱり彼女くらいいるよね……。


そう聞いてがっかりした気分になってしまった。


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