愛しき人

12月

早いもので、季節は秋から冬へとなり、12月になっていた。

12月の月末近くなる。カップルには大切なイベント当日。


『おはようございます』

「おはよう。相変わらず、元気だね。この寒いのに・・・」

『はい。もちろんです。』

『課長。おはようございます』

「あー。おはよう」


いつもと変わらない毎日・・・・
課長もあれ以来、縁談の話や秘密のことを口にすることはなかった・・・
それは、父と兄がABCの社長に勤め始めたばかりだから、少しあとで、顔会わせをしたいと伝えてくれていたから。
だから、課長にもそれ以来、新たな縁談の話は出ることがなかった・・・きっと父の力で、話をしているのだから、他の企業も言えないのだろう・・・
父に逆らうことができる会社などないみたいだ・・・・・


「みさきちゃん。今日のクリスマスはどうするの?」

『えり先輩。今日は残業になりそうです。』

「何で?今日は早く帰りなよ。彼氏いるんでしょ。年上の・・・」

『えー。そうなんですけど、課長がこの資料・・・・・』

資料に目をやると、机の上には山積みの仕事が・・・・・

「本当に課長は鬼だね。こんな日に残業させることないのにね。自分がいないからってひどくない??」

『いいんですよ。仕事ですから・・・』

「彼氏にいわれないの・・・仕事とオレと・・・」

『それって女の子が言うセリフじゃないんですか・・・』

「そうだけど、みさきちゃん、毎日残業でしょ。休日出勤もあるし・・・絶対彼氏怒っているよ。」

『大丈夫です。彼、仕事には理解がありますし、彼も休日出勤もあるし、一緒にいるときでも、家で仕事したりしてますから・・・』

「みさきちゃん、偉いね。若いのに。彼の仕事を理解してあげていて。私なら、泣き叫ぶわ・・・」

『エリ先輩の泣き叫んでいるところ、一度見てみたいですけど・・・』

「まったく、この子は・・・」

「お前ら、さっさと仕事しろ」
課長が言ってきた。


『「はーい」』
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