リアル




「新発見?」


若月の言葉に生野は思わず煙草を落としそうになった。


捜査は依然として進展を見せず、捜査本部の皆もほとほと困り果てていたのだ。


被害者三人には共通の知り合いもいなければ、接点もない。


一つだけあるが、それはあのサイトのみだ。


それに関してもまだ結果は何も出ていない。


通り魔的な猟奇殺人。


捜査本部ではその筋で事件を突き止めようとしている。


「被害者三人の被服から、ある物質が発見されているんです」


若月は焦っているのか呼吸がまだ落ち着かないのか、上手く呂律が回っていない。


「取り敢えず落ち着け」


生野の言葉に若月は、はいと答え、二度大きく深呼吸をした。


冬だというのに、額にはうっすらと汗をかいている。




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