リアル

「ああ、美緒ちゃんの方か。上手くいってますよ。計画が終わるまでは別れられないですしね」


英治はやれやれ、といったような声を出した。


薫は頭に少々の血が上るのを感じた。


あれだけ完璧な娘を彼女に持ちながら、他の女とも付き合っている。


相手が美緒だから、というわけではない。


二股を掛ける男は最低だ。


「もう一人の彼女はそれで何も言わないんですか？」


「菜々は物分かりがいい子ですからね。何より、僕のことを一番に考えてくれてます」


最初に感じた胡散臭さはこのせいだろう。


美緒の方は英治に惚れていることは一目で分かった。


だが、英治からはそれを感じるとることは出来なかったのだ。


「あと少しなのに、騒がれて邪魔されたら元も子もないですからね」


その声だけで、英治が何かを企んでいることは明白だった。







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