リアル




「最初は物の場所訊かれてんのかと思ったんだけど、よくよく考えたらナンパだったのかなって。
まさか、とも思うんだけど、ま、ああいう従順そうなのがいいって男もいるじゃん?
あ、わり……。友達だったんだよな」


男は罰が悪そうな表情をした。


隆はいや、いいですよ、と笑顔で返した。


自分は米山あかりと友人でも何でもない。


それに、ああいうの、と言われても全く分からない。


知っているのはテレビ画面に写し出された顔くらいなものだ。


「後からそうだったのかなと思ったから警察には言いそびれたんだけどね」


隆はナンパか、と心の中で考えた。


本当にただのナンパだろうか。


それとも、目的があって声を掛けたのか。



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