∮ファースト・ラブ∮
∮***垣間見る悲しい過去と現在(いま)
「どうしたの手鞠(てまり)?
いっつも元気しかないあんたが元気ないね。
しかも、昼休みになったっていうのに、
お弁当も広げないどころかうなるとか」
親友のあいちゃんは、いっつも優しい言葉をかけてくれるかと思いきや、
そうやって厳しいひと言を付け加えてくる。
おかげで塞ぎこんでいたあたしの心は木っ端微塵(こっぱみじん)だ。
塞ぎこんでいた理由、それは麻生先輩のことにある。
今朝の女の人と男の人。
いったい麻生先輩とどんな関係があるんだろう。
知りたい。
これは好奇心でもあり、麻生先輩を笑顔にしたいという想いでもある。
だけど……麻生先輩に直接言ったところで話をはぐらかされて終わりになりそうだし……。
「う~~~ん」
顔を机に乗せるとひんやりして気持ちいい。
考えすぎた頭には最適だ。
「う~~~~ん」
「ちょっと、手鞠!!
うなってたってわかんない!!」
あ、あいちゃんの存在忘れてた。
「ごめん、ごめん。
ちょこっと考え事をね」
「ふーん。
あんたが考え事っていや~、
ひとつしかないよね。
麻生 久遠(あそう くおん)先輩のことでしょ?」
呆れたような表情で告げられてしまう。
さっすが大親友。
あたしのことは、なんでもお見通しだね。
――――ん?
親友?
そこで、いいことをひらめいちゃった。