先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
砂に書いた文字
先輩と話したのはあの体育祭が最初で最後。
あれから一度も話すことはなかった。
それなのに、私の想いはどんどん募る。
見ているだけなのに、先輩の全てを知っている気持ちになる。
『今日、先輩怒ってる!』
毎朝恒例の私の先輩ご機嫌予測。
『可憐!あんたすごいって!』
半ば呆れ気味に、友達は私の恋を応援してくれた。
会話は一度しかできなかった。
でも、先輩は私の存在を覚えてくれているんだ。
それは、自惚れや勘違いじゃないんだよ。
確信があった。