先輩のボタン【卒業記念ショートストーリー】
完全なる片思い
学年の違う先輩とは、
全く接点がない。
そして、先輩に彼女がいることを知る。
それは、バレンタイン。
友達と手作りした精一杯の私のチョコは
渡せないまま、ゴミ箱へ捨てられた。
自転車置き場で待ち伏せしていた私の目に映ったのは
まるで、映画の中のような素敵なカップル。
――先輩、好きです。
チョコ食べてください。
何度も練習したセリフも言えないまま、
先輩と彼女の後ろ姿をじっと見ていた。