トツキトオカ
そして1週間後の金曜日、基礎体温計のグラフを見て高温期が続いているのを確認し、会社の帰りに薬局に寄って妊娠検査薬を購入した。

夜、ドキドキしながらスティックの先に尿をかけるとみるみるうちに判定窓に赤いラインが…!

噂には聞いていた、「妊娠している時は3分間待たなくてもすぐにラインが出る」は本当だった。

尿をかけた後、ドキドキする間もなく、それどころかパンツを履く暇さえなく陽性の結果が目の前に現れた。

私はその瞬間、「授かった、授かった」とひとり繰り返して呟いた。

喜びで涙が出る訳でも無く、ヤッターと大はしゃぎするでも無く、少しだけ慌て気味に「授かった」と繰り返した。

妊娠を目標に色々頑張ってきたのに、いざそれが現実に自分の身に起こると何だかびびってしまう、小心者の私なのである。

私は帰ってきた夫に妊娠検査薬で陽性が出たことを告げた。

「あたくし、もしかしたら妊娠したかもしれない」

それを聞いた夫の反応は非常に冷静で、とりあえずよかったけど、まだ喜ぶのは先にしておこうと言った。

私はもう少し感動してくれてもいいのに、ちぇっと思う気持ちもあったが夫の言うことは大抵いつも正しい。

私も「そだね」とそれに従うことにした。

それに私もまだこの時は嬉しさよりも「本当かな?」と疑いの気持ちの方が大きかったのだ。

基礎体温のグラフを見ても、妊娠はまず間違いなさそうだし、妊娠検査薬の正確性は99%近いと聞いたこともある。

だけど正直、プラスチックの棒に赤いラインが現れただけで自分の体内に命が芽生えているとはどうも信じ難い。

当の本人でさえこうなのだから、夫の態度が冷静なのも仕方がないってものだ。

それでも翌日最初のお祝いと言ってケーキを2つ、買ってくれた。

やっぱりいつでも優しい夫なのである。


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