トツキトオカ
さてどうやら妊娠したらしい私は、妊活中から目をつけていた産婦人科に予約の電話をした。

私が選んだのは自宅から30分程度の場所にある、100%無痛分娩の産院。

なんせ痛みに弱く小心者の私は前々から出産するなら無痛分娩で、と決めていたのだが、「100%」という点に非常に惹かれた。

他にも無痛分娩対応の産院はいくつかあったのだが、100%では無い。

初診の際に無痛を希望すると申し出なければならない。

もちろん自然分娩か無痛分娩かは自由に選択できるのだから遠慮はいらないのだが、「無痛で・・」と申し出るのはどうも気が引ける。

ああ、どこまでも小心者な私。

という訳で産むならその産院と勝手に決めていたのだ。

週明けの月曜日、早速予約の電話をした。

「初めてなんですけど、妊娠検査薬で陽性が出たので予約をお願いします」

「当院で出産をご希望ですか」

「はい」

「それでは出産予定日を計算しますので、最後の生理はいつでしたか」

驚いた。

出産予定日?

まだ検査薬で陽性が出ただけの段階なのに??

私が先月の生理開始日を告げると電話口の女性は言った。

「では予定日が10月13日ですね」

10月13日と言われてまたまた驚いた。

私の誕生日は10月9日。

近い!

電話口の女性はその日に分娩の仮予約を入れますと続け、私は翌週の平日に初診の予約を取り電話を切った。

もうこの段階で分娩の仮予約か・・。

全国的に産院不足で、予約がいっぱいだと希望する病院で出産できないらしいとは聞いたことがあった。

特に人気の病院になると、分娩のキャンセル待ちなんてこともあるらしいが、キャンセルが出たらそれはそれでちょっと微妙だと思うのは私だけだろうか。

とりあえず、私が選んだ産院は今のところ10月13日は定員オーバーでは無いらしい。
どんどん産みなさい、と奨める割には産める体制は万全でない。

いつかテレビでニュースキャスターが話していた台詞を思い出した。


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