キスはおとなの呼吸のように【完】
序文/キスと思い出
ぐちゃぐちゃに混ざりあって、あいだでつながるふたりの証。

唾液の糸を吸いこむくちびる。

恋人たちの愛の行為はさまざまだ。

手をつなぐこと、抱きしめあうこと、そして粘膜にほど近い皮膚のうすい赤い部分がそっと重なりひとつになること。

目をほそめても決して見えない相手のなかの弱い部分に不器用なくちびるをふれさせる。

言葉たらずな臆病ものが肌と肌をふれあわせ、感情の出口に絆創膏を貼っていく。
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