コルニクス
◆SEVEN

「え…知らない!?」

ステルラもクリュさんも知らないと言った…今。

「ええ。大体、その人の名前はなんて言うのよ」

「名前は…知らなくて…」

「はあ?何その人、すれ違ったことしかないセルの一目惚れの相手?」

「ちーがーいーまーすー!!」

「じゃあ何で名前も知らないの?」

「お…教えてくれなかった」

「嫌われてんじゃん?」

グサッ────────。

最後のクリュさんの一言は、私が一番気にしていたことで。

心の奥深くまでグサリと貫いた。

「………」

「ちょっとクリュ兄。私にバンバン言い返していたセルが、クリュ兄の言葉に黙りこんじゃったわよ」

「うん。今やべって思った」

< 83 / 575 >

この作品をシェア

pagetop