捨て犬な彼 ─甘えんぼクンと俺様クン─

甘えん坊ときどきドS


戸惑うあたしの手の下には一枚の新聞。


「春」という文字に、あたしの人差し指が重なっていた。


「春…はる…あっ!ハルってのは?呼びやすいし!」


苦し紛れの明るさ。はっきり言って戸惑いまくってた。


「うん。いいよ。蘭がいいなら」


あっさりハルに決定。

あたし…人に名前つけちゃったよ?


……って、あれ?


「何であたしの名前知ってるの?」


当たり前みたいに出てきたあたしの名前。なんで知ってるの?


「あぁ。あそこに名札入ってた。あのたんすの一番上」


ハルが指差す棚…あたしの洋服だんすに駆け寄った。


まさかまさかまさか…


ガラッ


たんすの中には1つ名札が入ってる。

その他にも色々小物が入ってる。


そんなんどーでもいい。

よくないけど…


横には……色とりどりの、あたしの下着…


決してサイズが大きくはない、ピンクのブラジャーが一番上だった。


「み…見た?」


顔から火が出そうなあたしに、ハルはビックリしたように聞き返した。


「ダメだった?」


だ…ダメに決まってるでしょー…
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