久遠の花〜 the story of blood~

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 夜中に出れるよう、私は準備をしていた。

 とは言っても、普段どおり過ごして、部屋で迎えが来るのを待ってるだけなんだけど。





「――まだ来ない、か」





 時計の針が、ちょうど十時をさす。

 来るのは十一時ぐらいだから、まだ一時間も余裕がある。特にすることもないので、ベッドに寝転がりながら時間を潰していた。

 そうしていると……段々心地いい気分になってきて。次第に、睡魔から手招きをされ始める。





「――――ん…」





 頭に、微かな重みを感じる。

 何度か瞬きをして見れば、誰かがいるように見えた。


「――起こして悪いが、そろそろ」


 時間だと、目の前の人物は言う。

 目を擦り視界をはっきりさせれば――そこにいたのは、月神君。

 時間なのかと時計に視線を向ければ、


「?――――!?」


 もう、十一時を三十分も過ぎていた。


「ごご、ごめんなさい!」


 眠ってしまったことを悔いた私は、その場で思わず正座をして頭を下げた。


「いや、そんなに謝る必要はないから」

「で、でも……約束の時間が」

「大丈夫。向こうには連絡済みだ」
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