彼女志願!

「話がある。今日は泊まって行きなさい」

「萌、そうしなさいよ。お姉ちゃんたちも明日くるって言ってるんだから」



私を騙した負い目があるからか、なんなのか

お母さんは妙に猫撫で声でスリッパを出しつつ、私の手からボストンバッグをさっととりあげて、家の中に入って行ってしまった。



「――」



それでも家の中に入っていくのをためらっていると


「またぼーっとして。早く入りなさい」


お父さんがぴしゃりと言い、玄関の鍵を閉める。



「――」



こういう両親を横暴だと感じ

一刻も早く家を出たいと思った私が、間違っているんだろうか。


親不孝者なんだろうか……。





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