スイートルームの許婚
「桜先生…これではダメです…前から言ってるでしょ?リアルティーがないって」



「・・・」



「文章もワンパターン化してるし…もう少し…違った角度で…こう」



立派な輸入家具のデスクに座って、パソコンを覗き込む黒縁の眼鏡を付けたエンジの上下ジャージ姿の女性。


あのジャージ姿はこのスイートルームにミスマッチだけど。


由可奈の顔とスタイルはオトナの女性になっていた。


どこ見て思ってるんだ。

これじゃあ、エロオヤジだろっ!?



その隣で喚き散らす俺と同じ年ぐらい淡いベージュのパンツスーツ着た女性。
彼女は多分、担当かなー。


女性は鳴り響くケータイを片手に部屋の外に出た。



「!?」


由可奈は顔を上げて、俺と目線を合わせる。


「愛斗?」
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