生まれ変わってもキミが好き【完結】





新任教師のニュースが教室に流れたのは、

最後の授業前の、休憩時間だった。


クラスに飛び込んできた女子が、顔を真っ赤にさせて叫んだ。




「ちょっといま隣りのクラスのコから聞いたんだけどさ! 日下先生、恋人いるんだって~!」




一瞬教室が静まりかえったあと、

周りにいた女子たちが一斉に立ち上がる。




「ええええっ!? うそっ!!」


「うわ~、やっぱいるんだぁ」


「だよねー。あんなイケメンに、彼女がいないわけないもんねぇ」




クラスの女子は、その話題で持ちきりになった。


男子が耳をふさぐくらいの騒ぎに。






でも、

あたしの耳にはその喧騒は、どこか遠くのものに聞こえていた。




ユキちゃんとアリサのところに行こうとしてたのに、席から立ち上がれない。


驚きとか、そんなものじゃ済まない。


本当に、心臓が一瞬止まったように感じた。




体温が急激に下がっていく。



凍ってしまいそうなほど。



全身の感覚が、鈍くなっていく。




目の前の物から、色がゆっくり、消えていく。









< 93 / 372 >

この作品をシェア

pagetop