愛を待つ桜

(4)下された罰

「あの……一条さんのご家族の方でしょうか? 一条聡さんにお電話が掛かっておりますが」


そう看護師に声を掛けられ、聡は差し出された子機を受け取った。

もし、夏海であるなら、謝るのは早ければ早い方がいい、そう思ったからだ。


「はい、一条です」

『あ、俺だ。携帯切ってるんだな』


電話の相手は如月だった。
落胆とともに疑問が浮かび上がる。なぜこの病院が判ったのか、なぜこんな深夜に掛けてきたのか。


「ああ、病院だからな。どうした? なぜここが判ったんだ。それに」

『落ち着けよ。いいか、落ち着いて聞けよ』


質問に答えるどころか、耳にすら入っていないようだ。


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