愛を待つ桜

(6)愛に咲く桜

妊娠4ヶ月目に入り、医者からゴーサインが出た。

その2週間後、運動会ができそうな見事な秋晴れの日に、聡と夏海は結婚式を挙げたのだった。


あの後、聡が事務所に復帰するには、多少の面倒な手続きを要したが……それは自業自得であろう。


新郎の付添い人をしながら、如月がボソッと口にする。


「しかし、やっぱ女は結婚式に命かけてるんだなぁ。もう入籍してて、ふたり目もお腹にいるのに」


聡も無言で頷く。

夏海にとって一番傷ついていたことは聡の仕打ちではなかった。

智香との挙式や指輪の件だったらしく、真っ先に責められたことを思い出す。


< 226 / 268 >

この作品をシェア

pagetop