琥珀色の誘惑 ―日本編―
(20)誤解の代償
(い、いまのは、日本語じゃなくてアラビア語だったのかも?)


舞は一瞬、自分の耳を疑った。強引に他の理由を探そうとする。

だが……。


「何をやっている。さっさと脱がないか」

「じょ……冗談でしょ? な、なんで、そんなっ」


あれほど純潔がどうとか言っていたのに、もの凄い変わり様だ。

婚約を解消したせいなのだろうか?

だが、いくらそうであっても側近にこんな真似をさせるミシュアル王子だとは信じ難い。
そうなれば、答えはひとつだ。


「信じられない! こんなこと……あなた側近なのに、勝手にこんな真似していいわけ?」


舞は勝手に判断した。
王子が婚約破棄をした女だから、どんなふうに扱ってもいいと思われている。

でも、ミシュアル王子の命令ではなく、この男の独断に違いない、と。

だが、長髪の男――ヤイーシュの答えはとんでもないものだった。


< 113 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop