琥珀色の誘惑 ―日本編―
実際に、ある石油会社に勤める日本人男性が、現地の女性と恋愛関係になった。
そして、最後の一線を越えてしまう。
相手の女性は処女で、父親はごく普通に結婚を打診して来たらしい。

だが、なんと男性には日本に妻子がいた!

当然、結婚なんてできない。
すると、男性は逮捕され懲役刑となり、数百万円の罰金も課せられた。

さらに、会社は懲戒解雇、妻からは離婚。
まあ妻子がいて気軽に遊んだ罰、とはいえ……日本では考えられないほど厳しい。

しかも、同じことを二度やったら次は“死刑”なのだ。


だが女性にとっても厳しいことはある。

結婚後にセックスの経験があることがバレたら……問答無用で離婚となり、実家に帰される。

場合によっては、一族に恥を掻かせたとして、処刑されるというのだ。
父親がそういった娘を殺しても殺人罪にならない部族がある、というから恐ろしい。


キスの余韻も吹き飛ぶような殺伐とした話に、舞は結婚に対する気持ちが少し後ろ向きになりかけた。

だが……。


「だからこそ、男は命懸けで女を守るのだ。いつ如何なる場合も、それは権利であり名誉だ。私は十五年前、妻になる女の名を教えられ、昨日という日を待ち侘びてきた。舞――私から逃れる術はない。諦めて従え」


そう言うと、王者のように金色の瞳で見下ろした。

その一方で……水飲み場の噴き上がる水に、子供のように大喜びするミシュアル王子を、不思議な想いで見つめる舞だった。


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