「じゃあ……舞ってプリンセスになっちゃうの?」


衝撃的なキスから一週間が過ぎた。

舞は今回の一件を親友の桃子にだけコッソリ告白したのである。

それまでは、一応沈黙を守っていた。
でも、ミシュアル王子からはなしのつぶてだ。乙女の唇を奪っておいて、とんでもない奴である。

何があったのか舞には判らない。
あれっきり、両親もミシュアル王子のことを口にしようとはしないのだ。
それをわざわざ、舞から話題にするのは悔しいし馬鹿らしい。

日が経つごとに、舞の中では単なるおとぎ話のような気がし始めていた。



大学近くのオープンカフェに座り、ふたりは話している。

円形テーブルの周りには椅子が四脚、それが五~六組置かれていた。
客は八割程度が女性で、ほとんどが同じ女子大の学生だ。

男子学生の姿もチラホラ見える。
おそらくは、彼女らのボーイフレンドか友人ばかりであろう。


「判んないけどね。何かの間違いだったのかも」

「間違いで家まで来る?」


桃子には砂漠の国の王子様が家まで来たことは話した。

クアルン王国のパンフも見せたし、妙な検査を受けさせられたことも……怒りに任せてぶちまけた。
その後、ジャガーで家まで送って貰ったことも。

けれど、キスのことは話さなかった。

舞は、そのことだけは言いたくなかったのである。


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王子  シーク  許婚  運命  独占欲  婚約者 

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