主婦だって恋をする

「――――びっくりした?」



ドアを開けるといたずらっぽい笑顔でそう言った美香。


しねーよ……毎週のように押し掛けてくるからもう慣れました。



「メシ、食ってく?」


「いいの?あ、もしかしてまた私と付き合う気になってくれた?」



目を輝かせる美香に、俺は冷たく言い放つ。



「……食ったらすぐ帰って」


「ひどーい。ねぇ、まだ新しい彼女居ないんでしょ?」



廊下を歩く俺の後ろで美香が言った。



確かに彼女は居ない。
でも……



「好きな人……できた」



だから、本当にもう来ないでくれ。

そういう意味で言ったのに……



「え~っ!どんな人?同じ大学?」



美香が思った以上に食いつき、余計面倒なことになった。



「美香には関係ねぇよ」


「……あるよ!変な女だったら
認めないからね」



……変な女、ねぇ。


“人妻”なんて言ったらヒステリー起こされそうだな。


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