生意気なハケン君
そして先月結婚をしようって念願のプロポーズまで受けて、



そろそろ式場を見て回りたいねと、

結婚雑誌を見ながら二人で語ってたのに――!






「親にはきちんと話しておくよ。悪いけど…椿もご両親に全てを話してくれないか?それが無理なら、俺から……」

「――ねぇ、どうして?」




申し訳なさそうな表情をする彼に、
私は思い切って核心をつく。






「どうしていきなりそんな事言うのよ。プロポーズまでしてくれたのに……!」






私が少し強めな口調で話すと彼は俯いたまま小さく息を吐いて、


赤ワインが入ったグラスを持ちそのまま一口飲んだ。









「椿は恋愛より仕事の方が大切なんだろ?」








「……」



――これで三回目。





まさかこの言葉を再び耳にするなんて……。



神様はどこまで残酷なんだろう。





驚愕したままの私に、


彼はごめんと小さく呟いていた。
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