さくら色 〜好きです、先輩〜

賭けの行方


*恭介side*


『男女混合サッカーの決勝戦を行います。3年4組と1年2組の選手は校庭に集まって下さい』


進行アナウンスが流れ、俺は一人校庭に向かった。


「恭介どこ行ってたんだよ」


すでに校庭に来ていた同じクラスでサッカー部員の門倉が俺に駆け寄って来た。


「わりぃ!ちょっと涼んでたわ」

「まさか決勝までこれるとは思わなかったな。桜井奏人さん、やっぱ凄いよな…」

「ああ。桜井先輩は中学の頃も飛び抜けて上手かったからな」

「そっか!恭介は同中か。あの人がサッカー部入ってくれたらうちの部最強なのにな。怪我してやめたんだっけ?」


桜井先輩の前の学校のことは世間には不思議なくらい知られてなかった。

このネット社会で少しも情報が流れないなんて…

先輩が転校したのは怪我をしてサッカーができなくなったからってことになってるらしい。


親が政治家だと都合の悪いことは全て隠蔽される。

こんなことが野放しにされてるなんて、本当に恐ろしい。



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