さくら色 〜好きです、先輩〜

「けど?」


那奈は不思議そうに瞬きを繰り返して顔を傾ける。


「ここにいるわけないの。それに、あの人は先輩だけど先輩じゃなかった」

「どういうこと?」

「先輩の瞳はね、いつも引き込まれそうなぐらいキラキラしてたの。大好きなサッカーをやってる時も友達とじゃれあってる時も」


私は、その先輩の瞳が好きだったんだ。

力強くて真っ直ぐなあの瞳が…


だけど、今の人の瞳はどこか寂しそうで、全く光がなかった。


まるで世界が終わったかのように。



先輩…


この二年で一体何があったんですか?



< 25 / 499 >

この作品をシェア

pagetop