さくら色 〜好きです、先輩〜

二年の空白


その後、那奈と昼食を食べながら色んな話をした。

さっき那奈と廊下でぶつかった人は小林慎也先生といって、小さい頃近所に住んでてよく遊んでもらっていたらしい。


「小4の時に慎ちゃんが引っ越しちゃったの」

「ずっと好きだったんだ?」

「…うん」


那奈はカァッと頬を紅くしてコクンと小さく頷いた。

小林先生の話をしてる那奈の表情は恋をしている女の子の顔をしている。

華やかで、色っぽくて、幸せそうで。

…本当に恋って素敵だな。

一瞬で女の子をこんなにも可愛くするんだもん。


「かれこれ8年になるかな。ずっと忘れられなかった。馬鹿みたいでしょ?」


そう言った那奈は、力無く笑った。


「全然!そんなことないよ。素敵だと思う。ねっ、頑張ろう?応援する!!」

「葵ぃ〜」


那奈は「ありがとう!」って涙目になりながら勢いよく抱き付いてきた。

私はその背中を宥めるようにぽんぽんっと撫でながら、心から幸せになってほしいって思ったんだ。


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