【短編】彼女の瞳に映る世界
200度の世界で

(彼女の瞳に映る世界は、あまりにも狭い)

放課後、ほとんど人が残っていない教室。

職員室での用事を終えて戻ってくると、彼女はまだ残っていた。

時折笑みを浮かべながら携帯を眺める彼女の横顔を見ながら、僕、中川智樹(ナカガワトモキ)はそう思った。

「ん?中川君、どうしたの?」

僕の視線に気が付いた彼女、町田由真(マチダユマ)は、不思議そうに首を傾げた。

「いや、なんでもない」

僕がこうやって町田さんと話をするようになったのは、つい最近。

席替えがキッカケだった。

数少ない友人曰く、『感情があんまり外にでないから、何考えてるか分からない』らしい僕とも、にこやかに会話してくれる彼女に、興味を引かれた。

恋愛感情ではない。

あくまで、純粋な興味。

今のところ。



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