エロスからタナトスへ
15 本当
夜は短かった。

朝早く、アラームの音。

彼は、ゆっくりと起き上がると、

私のほうをちらっと見た。

「詩雨子さん。このまま、ここにいて。」

「ジョンフン。おはよう。

 でも・・・オンマが来るんじゃ・・・」

「僕から電話しておく。心配しないで。」

「私も起きる。」

「いいよ、すぐ出かけるから。」

「仕事、遅くなるんでしょ?」

「たぶん。困ったら、ここに電話して。」

メモをテーブルに置くと、携帯が鳴った。

きっと、マネージャーからだ。

「じゃ、いってきます。」

「い、いってらっしゃい。」

ベッドから見送るなんて、なんだか、とても、

うしろめたい気分。

バタン、とドアが閉まった。
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