エロスからタナトスへ
19 ソンミンさん
「ヨボセヨ(もしもし)、ジョンフンさん?」

「そうですけど。」

「ソンミンだけど、今少し話せるかな?」

「はい。休憩中ですから、大丈夫です。」

「僕が口出すことじゃないかもしれないが、

 詩雨子さん。彼女、悩んでるようだが。」

「ソンミンさんに、何か?」

「日本に帰れない。死にたいって。」

「そこまで・・・僕もどうしていいのかわからなくて・・・」

「とにかく、一度日本に帰るように言ってみたんだが。」

「ありがとうございます。僕もそうするのが、

 今一番いいと思ってるんですけど。」

「何が彼女を悩ませているか、わかるかい?」

「うーん。」

「君が芸能人なのは、承知していても、心がそれを完全に理解できなくて、

 苦しんでいるみたいで。」

「彼女にとって、僕はまだ芸能人なのかな?」

「そうだね。そうだろうね。」

「僕は、最初からひとりの男として彼女を見てるんだけど。」

「それを、詩雨子さんにきちんと伝えたかい?」

「いや・・・」

「今言ったこと、すぐにそのまま言うんだよ。」







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