美味しい時間
暑さでとろけるショコラのように


真夜中に目が覚める。
少しぼんやりする頭のままゆっくり起き上がると、じわっと痛みに襲われた。

「あ、頭痛い……」

指でこめかみ辺りをギュッと押さえ、その痛みを緩和させる。
しかし、そんな事ぐらいでは収まるはずもない痛みに再度顔をしかめると、
うっすら開いている目にデジタル時計の数字が飛び込んできた。

「まだ12時回ったとこじゃん……、1時間も寝てない」

ベッドから起き上がり、フラフラとした足取りで冷蔵庫まで行くと、冷やして
おいたお茶を取り出した。慌てて飲んでしまい少しむせながらも、よく冷えた
お茶が喉を通っていくと、幾分痛みが収まったような気がする。

いつもなら寝付きのいい私がなかなか寝れないのには訳があった。
昨晩会社から逃げるように帰る時の、課長のあの悲しそうな、どうしたらいい
のか分からないような顔が頭から一向に消えてくれない。消えないどころか、
時間が立つに連れ鮮明に蘇ってきてしまう。
考えないようにとベッドに潜り込み、早く寝てしまおうと目を閉じても、結局
そんな事は無駄で、同じ事を繰り返してしまうだけだった。
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