美味しい時間

「またまた冗談ばっかり言って。あはははははっ……」

こんな時は笑うに限る。
お弁当だけでもドキドキもんなのに、夕飯まで一緒になんて。
それも毎晩? 有りえない……。
毎日こんなんじゃ、心臓がもちません。

「冗談? そんなわけ無いじゃん。マジ、本気!」

おぉっ! 目が本気を語ってるよ。前にも言ったとおり、こうなった課長にはもう敵わない。私が「それは無理」といった所で、却下は目に見えてる。
はぁっと溜息混じりに苦笑すると、課長がそれを見逃さなかった。

「もう諦めたって顔? じゃあいいんだな」

「だって、ダメって言っても無理なんでしょ?」

「分かってるじゃん」

はいはい。もう慣れてきたかも。
それに、一緒に食べるのは正直嬉しいし……。

「夕飯、食べるだけですよ」

「分かってるって。それとも何か期待してるとか?」

「してないっ!!」

相変わらず私をからかって、ニヤニヤ笑って意地悪な顔をした。
< 82 / 314 >

この作品をシェア

pagetop